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週刊ダイヤモンド記事に取材協力

週刊ダイヤモンドの特集「錬金術 暗号資産バブルの真実」に、今回もコメントを掲載していただいた。連載は今回で7回目になる。

https://diamond.jp/articles/-/381765

記事では、近年日本の上場企業の一部に広がっている「ビットコイン財務戦略」について、編集部による独自調査が紹介されている。資金調達力が低下した企業が、増資や社債発行で得た資金をビットコイン購入に充て、財務資産として保有する戦略を採用している例が相当数観測され、その中には継続企業の前提に関する注記や重要事象等が付されている企業も多く含まれるという。

さらに記事では、こうした戦略の発表直後に株価が急騰する一方で、その後は高値を維持できず下落に転じる例が多数示されている。個別の社名や数値をここで再掲することは避けるが、短期的な市場反応は強いものの、持続的な企業価値の改善には結びついていないという帰結は明確である。

日本の株式市場は、企業の投資機会と投資家のリスク資本供給を結びつけることを目的に制度設計されてきた。その枠組みの上で、「上場という法的器」を利用して暗号資産への投機的エクスポージャーを提供する企業が増加しているとすれば、それは制度本来の想定とは異なる利用形態である。

問題は、投資家が企業の事業リスクを引き受けているのか、暗号資産価格変動リスクを引き受けているのかが判然としなくなる点にある。この曖昧さが拡大すれば、市場における価格形成の規律と信頼性は低下する。したがって、個別企業の是非ではなく、市場制度としての健全性の観点から、一定のルール整備の要否を検討すべき段階に入っていると考える。

なお余談だが、この連載を読んでいると、虚構新聞によく登場する「京都大学教授・坂本義太夫」を思い出す。架空の京都大学教授が定型的に現れる虚構と、実在の京都大学教授が定型的に現れる現実とが、奇妙な鏡像関係を成しているのは、個人的には少し可笑しい。