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クレジットカードはキャッシュレス化の勝ち組ではない



この記事の内容はだいたい事実だと思います。しかし、こうしたクレジットカード業界に近い立場の記者が書いた記事ですら、加盟店手数料の水準について、同じ記事の中に、「加重平均すれば2%程度ではないか」という声と、「2~4%程度のケースが多いが、飲食店などが多い中小企業の場合、さらに高くなることもある」という情報の両方を書いているのです。実態は開示されておらず、よく分からないのでしょう。

消費者に「ポイント」として還元される部分もありますし、カードの不正取引に備えた保険料も負担しています。加えて、クレジットカードは与信を伴うので、使って払わない相手には督促しなければならないし、焦げ付けば債権を専門業者に二束三文で譲渡することになり、その費用も捻出しなければなりません。クレジットカードの加盟店手数料は、いろいろな費用が上乗せされていて、引き下げるのに限界があるのです。

加えて、記事にははっきりとは書かれていませんが、日本のクレジットカード会社は、CAFISという、信頼性は高いけれど、システム維持費用の高いネットワークインフラを使っているので、システムのコスト競争力だけみれば、インターネットを基盤とする、システムの原価ほぼゼロのPayPal、Alipay、LINEペイなどとは競争にならないのです。その意味で、現在のクレジットカード業界は、決してキャッシュレス化の勝ち組ではないのです。

だから、記事の結論もまた正しい認識だと思います。「クレジットカード業界は、高コスト体質の是正や事業モデルの見直しも含めて、対応を迫られることになりそうだ。」そのとおりでしょう。その意味で、「変だよ」という見出しは記事の内容を正しく反映していません。政府のキャッシュレス対策は、別にクレジットカード業界の保護のために行うのではなくて、人手不足経済の中で、サービス業の生産性を引き上げるために実施するものだからです。うまくいくかどうかは国民の対応次第ですが、このプロセスでカード会社も変革が必要になることでしょう。

もちろん、現段階の政府から聞こえてくる政策論議には、個々の政策としては変なところもありますが、カード会社に変革を迫る部分を指しているのであれば、それが「ちょっと変だよ」とは思いません。多分、内容をあまり理解しないで、編集サイドが付けた題名ではないかと思います。