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海賊版サイトのブロッキング問題

海賊版サイトのブロッキング問題は、色々なことを考えさせられる、とても深いテーマだと思う。

そもそもインターネットと著作権の問題自体が一筋縄ではいかない話だ。海賊版サイトの氾濫による著作権侵害に義憤を感じる一方で、著作権ビジネスで儲けている側を素直に応援できない部分もある。自分自身、なにがしかの著作物の著者である一方で、それを全くゼロから創造した訳ではないことも認識している。どんな文章を書こうとも、それらは無意識のうちに先人が書いたものを参考にし、言い変えたものであり、それは誰もが一緒である。サンプリングした素材を組み合わせる技術が進化するほど、様々な素材を容易に検索して収集できるようになるほど、著作物に中にどれだけ魂が込められているかが問われるし、それを売り物にして良いかという判断も難しくなる。その意味で、この記事の川上社長の物言いには、共感できないものを感じてしまう。そんなに単純に断言できないのではないか、と思う部分が多いのだ。

通信の秘密や表現の自由、プライバシーの保護といったテーマもまた、複雑な比較考量の上に成り立つ微妙な問題だ。それらが絶対不可侵なものとは思わないけれど、それらが大切にされる社会は良い社会だと思う。もちろんクリエイターの利益も保護されるべき大切なものだけれど、大切なもの同士が両立できない時に、どうやって折り合いをつけるかという点にこそ、知恵を絞るべきだと思う。

単純に白黒をはっきりさせれば分かりやすくなるけれど、世の中はそんなに単純ではないものだ。そういう複雑な問題を解くためには、やはりこうした問題を真剣に考えてきた専門家の知恵を活用すべきだと思う。

日本経済新聞 複眼 ネットに海賊版、著作権守れ 2018/7/17付[有料会員限定]