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印章産業と認証手段

印章産業、大手でもネットの普及に勝てず倒産へ
旭フォトマイクロウエア、M&Aによる拡大路線で財務悪化
(日刊工業新聞、 2017/12/20 )

印鑑、印章を紙の書面に対する認証手段と考えた時、カラーコピーや3Dプリンターの技術進歩でその偽造耐性は実用に耐えないほどに低下しており、現在残っているのは、過去の慣習に縛られた業務ばかりとなっています。早々に民事訴訟法の推定効とかの規定を改正して、紙からより信頼のおける技術を基盤とするようにし、あるいは信頼できる第三者の仲介を想定した仕組みに変えていかないと、国家の信用を支える制度が持たないと思うのです。残念なことですが、既存の印章産業の方々には、伝統工芸的な面を除いて、新たなビジネスに移行することを検討していただくほうが良いと思います。

日本での印鑑、印章といった概念は、古くは中国との朝貢・冊封関係で用いられた金印辺りから始まり、室町時代には花押が主流となり、明治の銀行制度導入の際に欧州のサインに代わって導入されたという経緯だと思います。現在では中国本土でも使われておらず、日本と台湾くらいです。印鑑の実務は、必ずしもそんなに日本の伝統って訳ではなかったはずです。

本人確認の手段としての署名(サイン)の仕組みもそこまで精緻なものではありませんが、少なくとも本人(と称する人)が直接関与していることを確認している訳ですから、誰でも押せる印鑑とは性格が異なります。署名を自然に発展させると電子的な認証につながりそうだけど、印鑑による認証は要件が違いすぎるので、そもそもの考え方を変えないとダメでしょう。

最近のネット銀行では口座開設時から印鑑、印章なしのところも増えてきています。印鑑を使っている側も、今となっては何で使っているのか分からずに使っているケースが増えてきています。レジで領収書を出してもらうと必ずといっていいほどハンコを押しますが、税務署はそんなのは不要だと言っているわけですし。

印鑑証明がいるような大事な取引では、金融機関や士業の人が立ち会うことで、実質的な本人認証と意思の確認をしているのだと思います。結果として、士業ビジネスにおける「慣習」にも入り込んでいるので、変えていくのが面倒な話になっちゃってるんでしょうね。