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暗号資産を巡る奇妙な伝言ゲーム

なんとも奇妙な伝言ゲームだと思う。ニューヨークタイムズが「ビットコインが失敗したことにFacebookとTelegramが挑戦しようとしている」と報じれば、それをCNETが「FBが仮想通貨の技術の活用を計画中」と翻案し、更に CNET日本語版が「FBが仮想通貨を推進中」 と意訳する。もともとの報道も暗号資産(仮想通貨)とキャッシュレス決済ツールを意図的に混同しているけど、その翻案は更に軌道を外れ、実態らしきものからどんどん乖離していく。暗号資産絡みの記事にありがちなことではあるけれど、何とかして事件を報じたいと思う気持ちがニュースを伝える経路にあふれているのだろう。

メッセージングアプリに送金機能が付くというのは、別に珍しい話でもなんでもない。中国はもとより、日本でもいろんなアプリが出てきている。米国には老舗のPayPalやvemmoがある。FBが同じことを考えても何の不思議もない。それらと、暗号資産市場で取引されるstable coinは全くの別物だ。更にそこからBitcoinやICOトークンには距離がある。「FBが仮想通貨」という記事が生まれた経路をたどると、まるで笑い話のようである。

それはそれとして、もしFBが決済機能を持ったとしても、それは国ごとに規制される話であり、FBでドル建てなら、どの国でも自由に決済に利用してよいということにはならない。そこがまさに既存の決済業者が各国で苦労していることでもある。Bitcoinが一瞬乗り越えて見せた国境の壁は、やはり越えられなかったのだ。ニューヨークタイムズの見出しをそういう意味で解釈すると、また別のイメージがわいてくるけれど、それを論じるにはNewsPicksのコメント欄は狭すぎるようだ。