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馬関発と馬開発

10年ほど前に、日銀下関支店長を務めていた際に、地元の新聞に週一回のコラムを書かせていただいた。コラムのタイトルは「ナゾと推論」とした。地元で見聞した内容を謎解き的に描く趣向にしたからだ。支店長を退任して東京に戻るころに、地元の新聞社が、私が書き溜めたコラムを本にして出版してくれた。

当時は、日銀下関支店のwebサイトに様々なコンテンツを掲載していたから、本の中身もほぼ全てwebで読めたのだが、紙の本もそれなりに読んでいただいたようで、お世話になった地に置き土産ができたようで嬉しかった。

本のタイトルは、 コラムから「ナゾと推論」をそのまま使ったのだが、山口県や下関市のことを題材にしていることが分かるように、「長州、馬関発」という副題を付けることとなった。馬関というのは下関の別名で、かつては下関駅も馬関駅と呼ばれていた。元をたどれば、下関の古い地名、赤間関(赤馬関)から転じた呼称であり、地元の人なら誰でも知っている名称である。

気付く人は少ないが、表紙の模様は山口県の地図。

ところが、この本の発売時にちょっとした問題が生じた。私は、出版した新聞社に「Amazon.comで買えるようにして欲しい」とお願いしたのだが、それはできないという。書籍取次のルートの問題らしく、それほど本を出している会社ではないから、Amazon対応をすると固定費が掛かる、というのがその理由だった。今なら状況は違うかもしれないが、せっかく本にしてくれた新聞社に迷惑はかけられないので、Amazonはあきらめることにした。 結果として、紙で出版はされたものの、Amazonでは買えないという状態となった。

ところが、しばらくしてこの本が古書としてAmazonのマーケットプレイスで販売されるようになった。その時に、下関のことをよく知らない人がタイトルを入力し間違えてしまったらしい。「 ナゾと推論  長州、馬開発 」という題名と入力されてしまった。「開」と「関」の字は似ているので、 OCRの文字認識の問題だったのかもしれない。かくして、「馬開発」という不思議な副題が付いた本がAmazonに並ぶことになった。

こういう時は、著者である旨を告げてAmazonに修正を依頼することができる。私も気が付いてすぐにその依頼を出し、ほどなくして Amazon の表示は「馬関発」と修正された。しかし、しばらく「馬開発」と掲載されていたから、そこから派生した読書ログとかに、今でも「馬開発」の文字が残っていることがある。

最初からAmazonに登録できていれば混乱は生じなかったと思うのだが、当事者としては心がざわつく出来事だった。紙からデジタル化された資料には、実はあちこちにこうした問題が潜在しているのかもしれない。