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BTCの「逆切れ相場」の行方

BTC/USDが12700を超えて高騰した。早朝にTetherの増発があったようだが、それが原因かは分からない。13700の年初来高値の更新までは至っていないが、過去の勢いからすると、どう展開しても不思議ではないだろう。

この間の流れを1年の時間軸で見てみよう。

BTC/USD 相場(過去1年間)
Tetherの対ドル相場と発行総額(過去1年間)

時期の微妙な違いがあるが、Tetherの発行総額とBTC/USDの相場が同じような動きをしているのが気になる。もちろん、2017年とかを入れれば相関は崩れるから、理論的な根拠がある話ではないが、2019年4月以降、割と露骨に、Tether増発⇒BTC相場上昇という構図が描かれてきたように思う。

今回の相場上昇のきっかけが、2019年4月25日のNY州司法当局からのTetherへの警告であったとすると、「逆切れ相場」という説明も可能だろう。それまで、目立たないように慎重に進めてきた相場操縦を、警告を受けてからは遠慮会釈なく実行しているように見える。むしろ意識的に演出して「クジラ」の役を演じているようだ。その結果、BTCの相場も回復し、Tetherに対する懸念も減った。実際、もし定額の負債(のようなもの)であるTetherを発行して購入したBTCが高騰したのだとすれば、Tether社は大きな含み益を獲得したことになるから、それがTether相場の安定に寄与することになる。

この結果、たとえ人為的に押し上げられた相場であるとしても、Tether社側はそれを支え続けていくことができるかもしれない。とはいえ、含み益というのは必ずしも頼りになるものではない。相場が急落すれば、逆のフィードバック回路が働いて、Tether不安がBTC相場を下げる構図も考えられる。

問題は人為的な相場押し上げの持続可能性だろう。外的なショックが働けば、実体もなく人為的に吊り上げられた相場の反転は速いと思われる。もっとも、これまでのところ、暗号資産市場と実体経済との繋がりは薄いようなので、金融経済の安定を考える立場からは、暗号資産の価格の成り行きをそんなに気にしなくても大丈夫なのかもしれない。