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New Libraへの反響

Libraのホワイトペーパーが改訂されたというツィートが流れてから2週間経つが、世の中はコロナ一色でリブラどころではないらしい。昨年6月の提案時には、世界を変えるとまで言われたLibraが、1年も経たない間にこんなに不人気になるとはねえ。

私もFacebook投稿やTwitterでは情報発信していたのだけれど、ちゃんとwebsiteを更新してなかったので、遅ればせながら、解説したい。

Libraホワイトペーパー改訂版の主な変更点 

1.シングルカレンシー型ステーブルコインの追加(事実上のドルぺッグ)、
2.堅牢なコンプライアンスの構築(マネロン対策)、
3.将来的なパーミッションレスシステムへの移行を見送り(やっぱりできないことはできなかった訳ですね)。

去年7月8日の日本記者クラブの講演や、10月10日の日経新聞「経済教室」で私が指摘した問題点の多くは、解消する方向で変更された。でも実現性はなお疑問だと思う。

このNew Libraのツィートへのリプライを眺めていると、「そんなのいいからビットコインを使えよ」とか「もはや劣化したLibraはビットコインの敵ではない」みたいなツィートが多いことに、時代の移り変わりを感じる。

ビットコインだって、この3月には、あっという間に半値に落ちるという事件を起こしてるし、マネロン問題も含めて、まともな取引には使えない。

New Libraは非中央集権型のブロックチェーンをあきらめ、保有資産に裏付けられた多分ドル建てのステーブルコインを目指すらしいが、それならTetherはじめ、あまたあるドルペッグの既存ステーブルコインとほとんど変わらない。BitfinexやBinanceよりはFacebookのほうが信用できそうだけど、どっちにしろ金融のプロではないので、銀行預金の代わりにすらならないだろう。Facebookが小口で使えるドル建ての社債を出すようなもので、UI/UX的には見てみたい感じもするが、規制対応は大変そうだ。

今回の変更で、昨年10月のG20のステートメントに対応するものになったとは到底思えない。昨年の公表時のような歓迎の声が聞こえず、報道もたいしてされていないので、実現してもニーズがあるのか、使われるのかといった面が疑問だ。コロナショックは彼らにとっても予想外だったろうが、いまの時代に求められているのは、New Libraの提案ではないのだろうと思う。