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ナゾと推論41 血液型性格判断

 日銀下関支店長 岩下直行

血液型性格判断が苦手である。宴席で、「血液型は何型?」「性格から見て絶対にA型でしょ?」などという話題で盛り上がってしまうと逃げ出したくなる。もちろん、「それは非科学的だ」と言って座を白けさせるほど不粋ではないので、適当に話を合わせ、さりげなく別の話題に移るようにしている。

「ABO式の血液型で人の性格が決まる」というのはニセ科学である。ニセ科学とは、表向きは科学的に見えるのに、実はなんら科学的ではない説のことをいう。血液型と性格については、一般向けの書籍がたくさん出版されているが、一部で信じられているような「A型の性格」、「B型の性格」といった説明は、科学的な検証に耐えるものではないし、人間を理解するために有用でもない。

人の性格というのは難しいものだ。明るい、暗い、優しい、厳しい、几帳面、大らか、などといった言葉を使って誰かの性格を描写しようとしても、なかなか正確には描ききれない。状況によって、また対象に応じて、様々な面を併せ持つのが普通の人間である。

例えば、血液型性格判断のひとつに、「A型は几帳面」という説がある。実は、血液型が何型であれ、人は何がしか几帳面な部分を持っているものだ。ところが、A型の人が「あなたはA型なので几帳面な性格です」と言われれば、「それは当たってる」と思ってしまうものらしい。実際には、血液型から性格が判断できるほどの強い関係は発見されていないので、結局、こうした説は単なる「思い込み」にすぎないのだ。

星占いや手相占い、あるいは神社のおみくじのように、お遊びと割り切って楽しむ分には害はない。しかし、血液型性格判断は、少しだけ「科学的」に見えるところが筋が悪い。ABO式の血液型は親から遺伝するし、輸血の適合性判定にも使われる。だからといって、それを用いた占いが科学的になるわけではない。

血液型性格判断が流行っているのは日本や韓国などに限られるという。米国や欧州のように、様々な人種が入り乱れて居住している地域では、血液型の違いよりも、人種や宗教の違いの方が強く意識される。これに対し、日本や韓国は、社会の構成員の均質性が高い地域であるため、ABO式の血液型で人を4種類のカテゴリーに分けて性格を論じるという説が受け入れられ易いのだろう。

血液型性格判断では、少数派であるAB型やB型が、好ましくない性格特性を押し付けられることが多い。宴席の話題程度なら良いが、企業の就職試験や人事配置で「血液型を参考にする」こともあると聞く。そうした行為は非科学的なだけでなく、無用な偏見を助長しかねないことに注意する必要があるだろう。

(2011.7.6日 山口新聞掲載)

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