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Tetherの増発と暗号資産の急騰

年末年始の暗号資産相場は比較的落ち着いていた。BTC/USDは、2019年6月の年間最高値13,729から、年末7,284にかけて、緩やかに低下を続けていた。この間、4月から6月にかけての急騰の背景と言われたステーブルコインTetherの発行額は、40億ドルで横這いを続けていた。

BTC/USD価格とTether発行額(億ドル)の推移

ところが、2020年1月7日に暗号資産の相場が高騰した。BTC/USDは8000ドルをうかがう急上昇を見せている。

この急上昇の背景にあるのは、Tetherの増発だ。1月7日、日本時間の午前6時前に、発行額(市場流通額)が41億ドルから46億ドルに急増している。

(出典) https://coinmarketcap.com/currencies/tether/

米国NY州司法長官からの指摘を無視する形で2019年4~6月に20億ドルから40億ドルに増発した際には、ビットコインのみが相場上昇してビットコインのシェアが急増し、50%から80%に上昇したのだが、今回のTether増発はビットコインのみならずアルトコインにも相場上昇が波及している。この傾向が続くかどうかは分からないが、メジャーなコイン間の裁定が進みやすい取引構造にはなっていることを考えると、昨年のようなビットコイン独り勝ち相場ではなくなる可能性もある。

(出典) https://coinlib.io/global-crypto-charts

とはいえ、今回の増発でややTetherの相場は軟化したようだ。増発前は$1.01前後であったものが、増発後は$1.00前後となっている。これは、増発によるショックを和らげようと、相場を高めに維持することで、増発後も$1.00を維持しようとしたようにも見える。

半年間、増発を見送っていたTetherが急発され、新たな錬金術のグルグル回りが再び始まるのかもしれない。しかし、そうしたミエミエの市場操作を投資家が受け入れるのだろうか。「クジラ」と呼ばれる大口取引の活動再開が、そのまま市場に受け入れられてしまう状況が続くのか、懐疑的な投資家が操作された市場から手を引くのか、今後の展開から目が離せないところだ。

(追記)
なぜこのタイミングだったのか、について情報を集めていたら、こんなニュースを見つけた。

NY司法当局、Bitfinex社とTether社の不正詳細を説明
巨額損失隠ぺい事件、「補填可能性は薄い」

12月4日付の文書によると、両社はTether社の準備金のうち6億2500万米ドルを別法人Crypto Capita(クリプト・キャピタル)の口座に移動。準備金の移動分は、Tether社の借用証書に置き換えられた。
こうして移動した準備金は徐々に使われ、なくなった。
ニューヨーク州司法長官は、Bitfinex社が交換所での引き出しに備え、資金を必要としているため、消えた準備金は補填される可能性が低いと述べている。

これに対して反論を述べた後で、ビットフィネックス社が増発を決めたのだとすれば、2019年4月とそっくりの状況である。市場の受け止め方は、今回はどうなるだろうか。