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地銀協月報1995年6月号掲載 「情報技術革新と銀行」のこと

この寄稿は、1995年6月に、全国地方銀行協会の機関誌「地銀協月報」に掲載された、私の署名入り対外発表論文の処女作である。当時の肩書は、金融研究所の副調査役であった。インターネットの発達による銀行業の変化を予測したこの文書は、1995年当時、銀行業界でもそれなりに注目されたと思う。全国地方銀行協会ではインターネットと電子マネーをテーマとする講演会を企画し、私も何度か講師に招かれた。

しかし、実際にインターネットで銀行業務が行われるようになるには、そこから数年を要した。論文中で言及した、「仮に銀行がその様なニーズに応えていかないと、銀行以外のネットワーク参加者が銀行に代る機能を提供してしまうかもしれない。」という予測は、フィンテックの流行という形で実現するまでに、20年もの月日を必要とした。銀行業界は慣性の強い業界だから、すぐに変わることはないだろうとは思っていたが、さすがにもう少し早く変革が実現すると私は思っていた。未来予測の精度としては、まったく自慢できるものではない。

とはいえ、この論文は、いろいろな意味で新しい試みの対象となった。例えば、掲載後、当時の情報通信サービスとしては主流であった、NIFTY-Serveというパソコン通信の金融プロフェッショナルフォーラム(FKINYU)に、全文を転載していただいた。当時のパソコン通信では文字しか使えなかったから、図表は全て管理人の「ちょんぱぱ」さんにお願いして、以下のようなアスキーアート風に変換して掲載していただいた。当時としては割とよく見かけた文書だったが、今の人が見たら「何故グラフィックを使わないのか」と不思議に思うだろう。

また、日銀・金融研究所が公表文書のインターネット公開を始めた1997年頃、「過去の文書は遡って掲載しない」ということにしたのだが、特別にお願いして2年ほど前のこの論文を掲載させてもらった。私は当時、金融研究所のインターネットのシステム管理も担当していたから、お目こぼしをいただいた訳だが、そういう経緯もあって、多分、現在の日銀ホームページに掲載されている文書の中では、古文書の復刻版などを除けば、最も古い文書のひとつだと思う。

この論文で扱っている「金融EDI」は、その後も何度も議論されては忘れられるという歴史をたどり、現在に至るまで、十分な形でのサービスは提供されていない。しかし、2019年10月に予定されている消費増税が実現すれば、2023年からはインボイスの義務化が始まる。それまであと5年しかないのだが、もしその時点でも紙ベースでのやり取りがメインであったならば、日本企業の経理事務は国際的な潮流から決定的に遅れてしまうことになるだろう。逆に、そのタイミングで、金融APIの開放と、それを活用した新しいインターネットベースの企業間情報交換+決済サービスを一気に普及させることができれば、日本企業における経理事務の生産性が大きく向上すると期待できる。過去20年にわたる経緯からするととても心配だが、フィンテックとキャッシュレス化が大きな原動力となって、日本の企業間決済が変革されると期待したい。