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博士号取得者が減る理由

こんなニュースが流れていた。

博士号取得者 主要7か国で日本だけ減少傾向続く(NHKニュース、2019年8月9日)

実は、1年前にも全く同じニュースが流れていた。

若者の修士・博士号離れ? 日本だけ修士・博士減少(STANDBY、2018年8月28日)

古くは20年くらい前に、「博士が100人いる村」という作者不明の動画が話題になったことがある(あえてリンクはしない。デマだという評価もあり、統計の解釈については私も異論がある)。

いずれも文部科学省の統計がベースになっているのだけれど、日本の博士号取得者の就職問題は昔から深刻であった。それがなかなか解決されないまま、博士課程に進学する人数が減り続けているというのは、確かに問題だと思う。多分、来年の今頃も、東京オリンピックのニュースに紛れて、同じニュースが流れることだろう。

今年のニュースの中で、科学技術・学術政策研究所のコメントとして、「海外では博士号を取得する前から給料をもらいながら研究するシステムが整っているが、日本ではそうした取り組みが少ないことが影響しているとみられる」という指摘が引用されているが、ちょっと的を外していると思う。

私自身、博士号取得者を採用することについて、人事部門とバトルを繰り返してきた。その経験に基づいて見解を述べたい。一般に、日本の大手企業の人事部門は、大卒一括採用、年次順の評価、昇進という軸しか持っていない。そのため、博士号取得者という「異物」を扱いきれないのだ。後でつぶしがきくか、大卒のどの年次に当て込むか、そんな不毛な議論を繰り返して、何とか数人を採用してもらったのが私の経験だ。博士号を持つ有能な人材が採用できたから、苦労した甲斐はあったと思うけど。

一般に、企業側は、ゼネラリストに色んな職務を経験させ、中間管理職にしてマネジメント能力で評価していくというキャリア・パスしか考えていない。その枠にはめようとするために、博士号取得者に活躍してもらう場が提供できていない。しかし、これからの時代、単純作業をする大勢の部下を、少数の管理職が管理するという職場は、どんどん少なくなっていくだろう。

だから、様々なキャリア・パスを考えて、多様な経歴を持つ人材に活躍してもらう必要があるのだけれど、人事制度が昭和のままだと、そういう対応が難しい。そこが変わらないのであれば、企業が博士号取得者を活用することは難しく、結果として、博士号を取得しようという学生も増加しないだろう。

人事制度はなかなか手が付けにくいものだけれど、日本と各企業の将来を考えれば、様々なキャリア・パスを想定した人事制度を構築していくことが必要だと思う。