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採掘難易度の低下とビットコインの将来

11月8日、ビットコインの採掘難易度指数が7%下がった。ほぼ一年ほど、ごく軽微な下落を除けば、ずっと難化を続けていたので、これだけ下ったのは2018年12月19日の-9.5%以来のことだ(blockchain.comの統計による)。

ハッシュレートは、9月23日に一瞬急落し、その後も不安定な動きを示していたが、特に10月末からはかなり水準が下がっていたから、難易度に反映されるのは時間の問題だった。とはいえ、ハッシュレートの水準は、この一年間でほぼ3倍になっているから、電力浪費による地球環境への影響という観点からは、若干の下落で安心できる訳ではない。Bitmain社でJihan Wuが復権し、米国でのIPOを推進するとの話もある。今のビットコインの相場が続くようなら、再び採掘事業に大規模な投資が行われるかもしれない。

こうした採掘事業の環境への負荷については、幾つかの試算がある。有名なのは digiconomist.net の Bitcoin Energy Consumption Index だが、今年の7月に推計値を73 TWh/年に引き上げてからは、推計値が更新されていないようだ。

もうひとつの推計値である cbeci.org の Cambridge Bitcoin Electricity Consumption Index は、最近のハッシュレートの動向を素直に反映した推計値を算出している。こちらも72 TWh/年とほぼ同じ水準だ。

マイニングマシンのエネルギー効率向上もあるから、ハッシュレートや難易度の上昇と比例的にエネルギー消費が伸びる訳ではない。しかし、既にオーストリア一国に匹敵する電力を浪費している発掘事業が、このまま拡大していくというシナリオは、地球環境の観点から持続可能ではない。こうした現実を踏まえれば、ビットコインが遠い将来まで存在し、現在以上の価格で取引され続けるという予測は、合理的なものではないと私は考える。